なぜ、今、日本でDXが議論されるのか 〜 注13

公開: 2021年4月22日

更新: 2021年5月30日

注13. プラグマティズム哲学

19世紀までのヨーロッパの哲学は、古代ギリシャの哲学とキリスト教の倫理に基礎を置いた、絶対的な真理の存在を前提とした考え方に基づいていた。20世紀になると、ダーウィンの進化論の影響から、絶対的な真理の存在を否定したり、絶対的な真理が存在しても、人間にはそれを知ることができないと信じる考え方が、米国で生まれた。そのような哲学思想をプラグマティズムと呼ぶ。

聖書によれば、全ての生物は神によって作られたとされており、天地創造の時点から現在まで、その姿や性質は変わっていないとされてきた。ダーウィンは、古代ギリシャから言われていた「生物の進化」を前提に、突然変異による進化と、適者生存の原則による自然の選択によって、全ての生物は進化してきたと主張した。この進化論的な考え方は、生物だけでなく、地球や天体についても適用できる。

さらに、進化の理論は、人間の思想や考え方にも、当てはめることができる。このことから、人間が理解している物事についても、理解そのものは完全ではなく、理解に誤りなどがあると考える。しかし、人間は物事について、深く考えを巡らせていると、そのような理解の誤りなどに気づくことがある。その場合には、気づいた誤りを考慮して、より正しい理解の説明を構築すれば良いのである。これが、プラグマティズムである。

参考になる読み物

哲学の改造、ジョン・デューイ、岩波文庫、1968